すっごい変だけど、美しい。吉田大八監督『美しい星』

教習所の教習のない日、久しぶりにDVDで映画を観た。

吉田大八監督の『美しい星』。

 

gaga.ne.jp

 

 吉田大八監督の作品は大好きなので、ずっと気になっていた一作。三島由紀夫の原作は未読です。実際に観たらば・・・

 

すっごいへんな映画!!!観ててもどんな映画なのか全然分からない・・・。

 

 私は凄く好きでした。家族全員それぞれに危うい感じに「覚醒」していく様子が、ギリギリ笑えるような笑えないようなタッチで描かれていて。(後で公式サイト見たら、監督自身が〝笑えます〟って書いてたので、ああ、笑っていいんだな、と。)時にSFチックな展開を織り交ぜながらも、全くSFでは無かったようにも思えるし、全てが個々の妄想であるかのようにも思える。でも、そうなるとあの人はなんだったんだ?とか謎な部分も残るので、感動しつつ「なんじゃこりゃー?」ってなる。

 

なるんだけど、この「なんじゃこりゃー?」が何ともいえずイイ。。 危うい登場人物たちを全然馬鹿にせずに愛を持って描いている感じがする。最後の10分ぐらい、家族が映画の中で初めてひとつのことに向かって動き始めた時、泣いた。

 

全員しょーもないし、どーしようもないことが沢山ありすぎるけど、全員とても愛おしい。それぞれのことに失望しつつも、何だかんだ言って思い合ってる。・・・ってことを描くのに、この不思議なディティール。なんで?でも、そこが最高に好き。

 

あと、この家族は基本的にお互いのやることを否定しないのがいい。お父さんはお母さんののことを何も言わないし。兄妹もお互いをすぐ理解するし(理解早すぎるだろ、って笑ったけど)。お母さんは娘のことは心配し、夫の行動に憤ったりするけど、根本のところでは全部受け入れたいって思ってる。それがラストの行動に繋がっていって、グッとくる。美しい。

 

美しいといえば橋本愛の美しさはこの不思議な作品に、びっくりするほど合っていた。『桐島、部活やめるってよ』ではすごく現代的な、周りに合わせる器用さを持った普通っぽい女の子に見えたのに、この作品ではどうしても周りから浮いてしまって居心地の悪さを感じている繊細且つ盲目的になりがちな危うい女の子(実は宇宙人かもしれない)に見える。そう、亀梨くんもリリーさんも(宇宙人かもしれない)具合が絶妙で、たまらなかった。

原作も近いうちに読んでみたいなー。