山ちゃんの本に胸を熱くする正月

帰省2日目。夕方から妹家族が来るということなので、昼間は街のセールを覗きにいった。

一応、目当てのブランドを見てはみるものの、人が多過ぎて購買意欲が出ない。少し人混みを離れて、お気に入りの雑貨屋に。最近割ってしまった醤油差し、小鉢、箸置き、真鍮のオーナメント、スケッチブック・・・。こういう買い物してる時が至福。「はぁ〜楽しいわぁ」と思いながら店内をうろつく。

 

疲れたし小腹が空いたので、本屋に併設されてるセルフのカフェなら空いてそうと思いつき、向かう。ひとりで本を読んでるお客さんも多いので「私もここで本を買って読みながらコーヒー飲みたい!」と思い、本棚を物色する。

 

もうここで「本を買ってすぐ隣のカフェで読む」という自分の思いつきにアドレナリンがドバーッと出る。こういうの久しぶりだわ〜楽しい〜幸せ〜。うわ〜何の本にしよう〜。

 

結局、実用性のない買い物ほど楽しい。本屋で本を選ぶ時間ってめっちゃぜいたく。穂村弘さんの昔のエッセイの中で、夜中に本屋をはしごして喫茶店でお茶を飲んだりしていると幸せでいつまでもいつまでもこうしていたい、というようなことが書いてあったのを思い出した。すっごい分かる。昼間だけど。

 

あまりじっくり選んでいる時間はなかったけれど「今日はこれだ!」とピンときて買ったのは南海キャンディーズ山ちゃんの『天才はあきらめた』。ジェーン・スーさんがこの本を読んで「山ちゃんは本で本音を語るタイプですね」と言っていたので気になってた。

 

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コーヒーとトーストを注文し、待っている間に読み始めると、もう最初の数ページでグッときてしまう。ラジオ以上に正直な語り口。何てったって『天才はあきらめた』ってタイトルがね(泣)(山ちゃん、どう考えたって天才だけど)。

 

山ちゃんって負の感情をすべて自分の行動力に変換していく、マイナスエネルギー使いの妖怪・・・、いや、魔法使いのよう。驚くべき理屈っぽさ。その理屈だけで完結しないように、さらなる理屈で言い訳をねじ伏せて何とか成功する方向へ自分を駆り立てていく。頭の中がもう、大変そう!退路を断つって意味の言葉が何回出てきただろう。

 

思いの強さゆえのクズさ。でも本当のクズは自分のこと「クズ」って言わない。クズな自分にもしっかり向き合った山ちゃんは格好いい。こんな清々しい気持ちになると思わなかった。新年1冊目に読んだのがこの本で、良かった。

 

 

『天才はあきらめた』山里亮太