『40歳までにオシャレになりたい!』でも、「何着りゃいいんだ」問題

この春からTBSラジオで始まったライムスター宇多丸さんの番組「アフター6ジャンクション」通称「アトロク」

月曜から金曜の3時間帯番組なのに、内容が濃すぎて咀嚼するのに大変な時間を使ってしまい、他の趣味にかける暇がなくなるため「趣味殺し」の異名がついているほど。

 

私も番組開始当初から結構しっかりと追いかけていますが、正直アップアップし始めている今日この頃。ラジオクラウドで各コーナーだけを聴くことが多くなってます。紹介されている音楽や本や映画、手をつけられないものがほとんどですが、先日「おっ!」と思ったものが。

 ゲストで出ていたトミヤマユキコさんの著書『40歳までにオシャレになりたい!』。

それに絡めてしまおまほさんや宇垣アナウンサーと服についてお話しされていたのがツボで特集してほしいほどでした。

 

まさに私もアラフォーなる年代に差し掛かった頃から、今まで「個性的」で逃げ切って(?)きた服装一辺倒では如何なるものか・・・。それまで可愛いと思っていた服と自分の顔などの雰囲気と合わなくなってきていて。

「何着りゃいいんだ」問題は自分の中でかなりでかかったのです。

 

早速、『40歳までにオシャレになりたい!』を手に入れました。

 トミヤマユキコさんのことはタマフル時代から大好きなのですが、この本はもう「オシャレ」に関するパンチライン満載で、気の合う友達とお喋りする感覚で笑いながらどんどん読んでしまいましたね〜。

 

“控えめすぎるダイヤは鼻くそダイヤ”、“肩幅広い系人間がワイドパンツ履くと「ケメックス」”など身も蓋もない名言が光ります。

この本の中ではおもしろ重視の個性的ファッションのことを圏外ファッションと呼んでいるのですが(反対にコンサバ気味なのは圏内ファッション)、

もうこの概念がわかりすぎる・・・。

 

“圏外ファッションをこよなく愛する人には、呪いがかけられている。「シンプル服がつまらなく見える」というおそろしい呪いが・・・。”

 

まったくもって、その通りでございます。どうしたらこの呪いが解けるのか、四十路に突入した今も検討がつきません。

 

“人目を引くデザインのほうが断然おもしろい、という脊髄反射がどうにも止まらない。”

 

脊髄反射。言い得て妙です。脊髄反射しないシンプル服が、本当に買えないのです。

そう、それでいてシンプルで上質そうな服にビビットな差し色なんかしている上品でオシャレな着こなしに超憧れる。憧れた上でもまだ「でも何かつまんねーんだよな」と心中で毒づく無限ループ。

 

変な服着たい煩悩が邪魔して

着まわしの効く上質な服、持ってねぇーーー!

主張の強い柄物が多くて、着まわし効かねーーー。

 

“圏外ファッションだけ着ていたころはラクチンだった。圏外ファッションは、めちゃくちゃ難易度が高そうに見えて、実は、着れば誰でもそれなりのオシャレ感は出せる。それが「圏外」ということだ。本人ががんばろうが、がんばるまいが、安定して個性的。”

 

耳が痛いが、わかりますわかります。

友人の結婚式二次会にベロアの真っ黒な魔女っぽい古着ワンピースを着ていったとき

同席した幼馴染みに「あんたはまぁ、それでいい」という旨のことを言われた記憶があるが、それが “世間のファッション警察から釈放” ってことなんだと、今になればよくわかる。

 

当時は体型にも今の500倍ぐらいコンプレックスがあったので、ともかく世間のいわゆる「若い女」を品定めする目から「釈放」されるにはどういうポジションに居ればいいかという事ばかり考えていた気がする。

 

「何を着るか」って、現在の自分をどう思っているか、どう見せたいかっていう自分との付き合い方がモロに外に出てしまう。

若い時はそこまで客観性も持てないし、自分のコンプレックスにも向き合いきれなくて、何だか変な格好をしてお茶を濁していたのだと思う。ファッションについてそんなに考えたって、この体とお財布事情がいきなり変わることもないので、身の丈で何かを選んで着るしかないし。

安い古着とか一生懸命探して。それはそれでとても楽しかった。

 

そんな誰でも通るような紆余曲折を経たわけですが、最近感じるのは寄る年波には勝てない顔の変化、肉体の変化。これはもう容赦がないので、どうしても似合わない服も出てくる。

特に体型について激しく共感するとともに膝を打ったのが以下のところ。

“かつて均等に我がボディを覆っていた肉が、気づけば重力に負け、下へ下へ。お腹の肉はだぶついているのに、首〜胸のエリアがやたらスッキリしている謎体型の完成だ。”

私はこの文章に笑いながらも「そういうことか!」と妙に納得してしまった。やたらと「痩せた?」と訊かれるわりには全然ピンとこない近年の現象をこんなにズバリと文章化していただいて、大変腑に落ちた。遅い。

そして、だから骨(鎖骨)を見せていこう!鎖骨は最高のジュエリー!という流れには感心した。なるほどー。そんな風には思ったことなかったので、これは試してみようと思った。

  

また、これまた重要な「足もと」問題。「タイツ」の項では(おそらく)身を乗り出して口で「そうそう」とか相槌打ちそうな勢いで読んでしまった。

私はカラータイツが大好きで、敏感肌のためそれほど履き心地が好きではないにも関わらず大量のカラータイツ在庫を抱えている。

しかも、黒タイツは「つまらない」という理由で1足しか持っていない。

そこで本文でも出てくるグレータイツの登場。グレーのタイツは大変汎用性が高くて黒ほど無難に見えないので重宝するのだ。

 

ともかく、ストッキングが嫌いで仕方なく、若い頃はストッキング+パンプスを履かなくて済む人生が自由な人生、ぐらい思ってた。

今は仕事で致し方なく履くこともある。夏なんて暑いからと、パンツの裾から見えたら超絶ダサいソックスタイプのストッキングも平然と履いてしまえる。

歳を取るって強い。コスプレだと思って楽しんでしまえる今の方が自由度は増している気がする。

それでも、プライベートでストッキングを好んで履くことは、この先もまぁ無さそうなので、圏内ファッションでもグレータイツが許されるのはかなりありがたい。

 

様々な項目について書かれていて、共感することが本当に多いのだけれど

(そして、「靴」問題、「メイク」問題、「髪型」問題についてはまだまだ色々語りたいのだけれどまたの機会にするとして。)

著者のトミヤマさんとは実際の圏外ファッションの傾向も違うし、似合う圏内ファッションもかなり違いそうで、そんな「違い」から気づくこともあった。

まず、私はトミヤマさんほどポップな圏外ファッションが似合わないのだ。大胆な柄物とかビビッドな色とかちょっと変な形とかは大丈夫なのだけれど、ファニーな感じをオシャレに着こなせない。

グレーのパーカーも着たことがない。絶対に部屋着以上のものに見えない自信があるから。どちらかというとカジュアルなオシャレがあんまりサマにならない。

 圏外ファッションについてもやりきってない感が満載なので、著者のトミヤマさんよりも圏外ファッションについても憧れ寄りの執着がまだまだ強いのだ。

 

その分というか、なんというか、いざ圏内ファッションをしたらば普通に似合うし違和感なく「そういう人」に見えると思う。(たぶん・・・)

無難なファッションをしたら、ものすごく無難に見えてしまうことを自分がいちばんよく分かっているからこそ、「大人なオシャレしたい欲」と「変な服着たい煩悩」の板挟みになりがちな昨今だったのだなと、この本を読んでよくわかりました。

 

“アラフォーのオシャレが厄介なのは、すでに自分内ルールがいくつもあることだ。それなりに長い時間を生きてきた中で、自分の弱点やコンプレックスと向き合ってきたからこそ、こういうルールはできるのだけれど、あまりにガードが固いと、新しい自分に出会うことはできない。”

まさに、これなのですよねー。

大人のオシャレ VS 変な服

ではなくて、変な服好きな私も楽しめる大人なオシャレ

そういうのを模索していったら良いんじゃないかしら?なんて、思えました。

 

つまんない服着ることが大人のおしゃれなのでは、とぼんやり思ってたのが、そうではなさそうな選択肢がありそうで、希望が持てました。

何着りゃいいんだ問題はまだまだ続くのでしょうが、きっとそれは永遠に楽しく続いていくのです!

 

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